前回まで入院や手術をしてしまった場合の話をしてきましたが、仮にもし長期間働けなくなったときどうされますか?今日はそのことについて考えてみましょう。
傷病手当金とは
傷病手当金とは、病気やけがで働けなくなったときにお金のサポートを受けられる制度です。このお金は、あなたが元気になってまた働き始めるまでの間、生活を支えてくれる大切なものです。
たまに「会社を長く休んでも給料の2/3は保証されるよ」なんて言葉を聞いたことがあるかもしれません。
細かい条件などは読んでいて大変だと思うので、FPに相談か最下部リンクを参照してください。
ここではざっくりと概要と注意点を含めてお伝えしていきます。
受給要件
傷病手当金は大きく4つの条件を満たす必要があります。
- 業務外のけがや病気である
- 勤務が出来ない状態である
- 連続する3日間の休業を含めて4日以上仕事を休まなくてはいけない
- 仕事を休んだ期間、給与支払いがないこと
よく勘違いをされる方がいますが、業務外の病気けがが対象です。
仕事との因果関係が認められる場合、それは「労働災害」ですのでまた違います。
ここで注意すべきは、連続して4日休めば受給されるのかという点です。
まずは「有給」を使うことが多いです。1週間程度で仕事復帰できるのであれば傷病手当金の出番はありません。
ですので、傷病手当金を受給するということはかなり大変な状態であると認識した方がよいでしょう。
受給金額
傷病手当金はよく給料の2/3もらえるよ!なんて言いますけど、その給料って何を指すのでしょうか?
ここはみなさんかなり勘違いをされるところですので、重要なポイントとなります。
傷病手当金の1日あたりの金額は以下の計算式で求められます。
「支給開始日以前の継続した12か月間の平均給与÷30日×2/3」
ざっくりと説明するとこのような感じで計算されます。では平均給与とは?
標準報酬月額
非常に大事なキーワードとして「標準報酬月額」というものがあります。
みなさんは健康保険料や厚生年金保険料がどうやって決まっているかご存じですか?
実はこの標準報酬月額というものを使って、一定の範囲ごとに区分した「等級」によって決まっています。
ですので、ご自身が何等級で標準報酬月額がいくらかを確認することが大事となります。
平均給与はこの標準報酬月額を指していると言って良いでしょう。こちらもFPに聞いて確認してみてください。
例と注意点
例えば年収600万円の方がいます。わかりやすく有給等考慮せず30日働けませんでした。
そうすると下記の計算になります。
例
600万円÷12か月=50万円
50万円÷30日×2/3×30日分 → 約33万円
働けなくなってもこれだけもらえるなら仕方ないかな・・・という感じです。
が、ここで大きく2つ注意点があります。それは「賞与」と「社会保険料」です。
「賞与」
いわゆるボーナスですが、年4回以上は報酬としてカウントされますが、年間3回以下は報酬に含みません。
例)ボーナスが年3回でボーナスが120万円分出ていたとする
(600万円-120万円)÷12か月=40万円
40万円÷30日×2/3×30日 → 約26.6万円
ボーナスが4回以上の場合は33万円で、ボーナスが3回以下だと26.6万円となってしまいました。
「社会保険料」
社会保険料は傷病手当金受給中も支払いは免除されません。
例えば上のケースですと標準報酬月額は40万円です。
東京都の令和6年3月~の標準報酬月額表を確認すると、
健康保険料+厚生年金保険料合わせて57,974円です。
ということは実際は20万円程度しか手残りはないことになります。
実は2/3ももらえないことがわかったかと思います。
またこの傷病手当は個人事業主にはありません。
今働けなくなった場合、いくらもらえるのか、しっかりと確認が必要です。
まとめ
- 傷病手当金は受給条件がある
- 標準報酬月額によって受給額がわかる
- ボーナスが4回未満か以上かで変わる
- 社会保険料は免除されない
- 現状を確認すべき
コメント